第二次世界大戦下ドイツの学童疎開と、教育活動の深化を目的として自然豊かな地域に設けられた宿泊型教育施設である学校田園寮(Schullandheim)の普及拡大を目指した学校田園寮運動の関係に焦点を当てた研究である。ハンブルクの学童疎開を中核で担ったハインリヒ・ザールハーゲを始めとする学校田園寮運動の指導者たちが、学童疎開を学校田園寮運動と同一視できるものと位置付けることで学度疎開もまた「優れた教育活動」であると捉えて学校田園寮運動の如く学童疎開を進めたことを明らかにし、その起源も含めて本質的には全く異なる学校田園寮運動と学童疎開が、表面的な類似性のために結び付けられたことの問題を指摘した。
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