平成29年度は、ドイツの社会教育の実践についての調査を実施した。具体的には、公益有限会社や子どものまち、生産学校を訪問し、社会教育士や自治体の行政職員などに対し、事業の概要や組織、これまでの活動などについての調査を実施した。この調査により、現在のドイツでは社会教育の視点に基づき、移民・難民支援や失業している若者への支援が活発に行われていることが把握できた。ドイツでの調査結果をもとに、中央アジア諸国で類似の実践を行うことが可能か、についての検討を行った。本調査における結果と考察は、科研基盤(B)「社会教育・福祉・コミュニティ支援を統合するシステムと理論、専門職形成の比較研究」(研究代表:松田武雄)の報告書第2集に調査報告として掲載予定である。 また、年度末にはウズベキスタンのタシュケント国立ウズベク語・ウズベク文学大学において本課題に関する研究報告を行った。さらに、同大学やウズベキスタン国内の研究者、大学教員などとも研究交流を行い、現在の研究課題や今後の研究交流などについて検討を行った。今年度は研究の最終年度であり、これまでの研究の総括として、関連テーマの論文を執筆予定である。 全体の研究期間において実施したドイツやウズベキスタンなどにおける調査、研究交流を通し、今後に続く新たな研究テーマとして、その地域特有の理論や実践はいかに地域外に適用できるのか、といった課題が生まれた。一例として、ドイツの社会教育学の理論や実践は中央アジア諸国にどう適用可能なのか、という課題が挙げられる。この研究テーマをもとに、今後の研究をヨーロッパや中央アジアをフィールドとして継続していきたいと考えている。
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