研究課題/領域番号 |
15K17345
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
肖 蘭 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 外国人研究者 (50730793)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社区教育 / 成人教育 / 失業 / コミュニティ福祉 / 包括支援 |
研究実績の概要 |
世界中で失業問題が深刻化しつつある中で、地域における失業者の自立に向けた包括的な支援の構築が国際的・政策的に大きな関心事となっている。本研究は、中国、香港、台湾を事例にして、近年の生涯教育の展開に伴って進められてきたコミュニティを基盤とする失業者支援の実態に関する比較研究を行う。地域における失業者支援を支える理論、実践の展開を検討することで、社会問題の解決に資する社会教育学研究の新たな理論とシステムの構築を図ることを目的としている。 平成27年度では、対象地域である中国、香港、台湾における社会教育・成人教育の概念と理論構造について文献分析を通して整理した。また、対象3地域における国勢レベルの政策・統計資料に基づき、失業者に差し向けられた特別な教育施策や教育財政援助支援策について分析を行った。4月に北京市にフィールワークを行い、北京師範大学の成人教育研究者への聞き取り調査及び再就職訓練に関わる職員への聞き取り調査を行ったほか、社区施設や社区福祉活動の見学も行った。 これらの調査結果と日本の研究や実践と照らし合わせ、比較考察の視点を広げるために、日本における松本市と松江市の地域調査を行い、中日教育研究協会、日本教育学会、日本社会教育学会、アジア教育学会等の年次大会に参加して、研究課題に関する情報収集と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象地域の研究や政策の現状における文献収集・分析、現地調査を実施するとともに、学会や研究会における討論を実施できた。また、研究対象地域以外にも、比較考察の参考として日本国内の地域調査も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象地域での調査を引き続き行うとともに、これまでの調査のフォローアップも行う。平成27年度は主に中国を中心にフィールドワークを実施したが、今後は台湾と香港の現地調査を重点的に行う。また、論文執筆や学会発表等を通して、研究成果を積極的に広く発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の準備段階で比較考察の視点でより多くの知見を得るために、日本国内の調査を中心に実施しており、海外のフィールド調査を翌年度にまわした。そのため、海外調査旅費が余ったことに加え、データ分析作業に必要な物品や調査謝金等の予算執行も先送りにした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額が生じたため、2016年度には調査対象の3地域である中国、香港、台湾の調査を1回ずつ実施する予定である。国際学会発表と国内学会発表を行い、調査成果を広く発信する。
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