台湾の教員養成制度について、特に日本における制度の改善や見直しの示唆を得ることを目的として、以下の3点を中心として調査・研究を行った。 第一は、台湾の大学等の養成機関での教員養成の内容・方法である。台湾の現行制度である大学卒業後半年の教育実習の内容や方法について現地において調査した。特に、大学側の卒後教育実習に対する指導方法として、研究授業とその後の検討会での指導や、大学への返校指導の方法について明らかにした。 第二に、現職教員の研修制度とその実態についてである。台湾には、日本の教員免許更新講習に類似の制度として、現職教員研修のシステムが確立している。研修の開設者は、大学に加えて、小・中・高等学校による公開研修会方式の実施や、民間団体によるワークショップスタイル等、年間を通じて多くの研修の機会が提供されている。すべての研修には単位数が設けられており、教員は研修への参加状況を単位取得数として自ら管理できる。本研究では、これらの現職教員制度にかかわる法制度と教員研修の「パスポート(単位取得)」方式のシステムの運用、および学校現場での校内研修の実態について明らかにした。 第三に、台湾の大学における教職センターのあり方について、國立清華大学教職センターと國立台湾師範大学に新設された教員養成学部の2大学を対象に調査し、一般学部における教職指導の制度と方法を明らかにした。 今後は、上記の三つの視点による、教員の養成と研修に関する大学の役割という視点から研究を継続する予定である。
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