研究課題/領域番号 |
15K17352
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
安宅 仁人 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (20513675)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育と福祉の連携 / 人口減少対策 / 子ども・子育て支援 / パッケージ化 / 日欧比較 |
研究実績の概要 |
当該年度にあっては,前年度延期を余儀なくされた海外調査を2018年2月に実施し,教育・福祉等の子ども関連行政の連携と人口減少対策に焦点をあてながら,以下のように大都市と地方中小都市間の比較調査を行った。 (1)2018年2月6日~9日にかけてデンマークの子ども・若者関係部署を訪問し,現地コーディネーター兼通訳同伴のもと,大都市部のコペンハーゲンと地方中堅都市のフォーボー市の行政担当者へのインタビュー調査を実施した。コペンハーゲン市においては子ども・若者課の開発コンサルタント,デンマーク国内最大規模の中学校,さらにはコペンハーゲン市社会サービス課のケースワーカーから,近年の子どもをめぐる課題と教育・福祉の連携状況について説明を受けた。また,地方中小都市のひとつであるリンゲ市を訪問し成長と学習課の担当者にインタビュー調査を行い,近年教育と福祉の連携が進む一方で高齢化と人口の流出が進んでおり,学校統廃合が進行するとともに財政部門からのコスト削減の要求が強まっている状況が確認できた。さらには,地域の住民団体を統括しているフュンスランド議長にインタビューを行い,地域全体で移住・定住を促進している状況にあることが明らかになった。 (2)2018年2月12日~13日にかけてコーディネーター兼通訳を同伴してフィンランドを訪問し,中堅都市であるユバスキュラと周辺小規模自治体のウライネンの行政担当者ならびに住民活動団体にインタビュー調査を行った。フィンランドの中でも屈指の人口増加率を誇っているウライネン地域では,学校と保健センター(ネウボラ),ユースセンターが近距離におかれ,行政による住宅政策も含めた子ども支援のパッケージ化が図られていることが確認された。また,ユバスキュラ市においても,福祉・移民・教育の各担当者にインタビューを行い,移民統合における教育・福祉的なアプローチの重要性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度(2016年度)末の体調不良により,当初予定していた海外調査の取りやめを余儀なくされた。この調査の遅れににより学会報告ならびに論文等の公表による成果発表を行うことができなかった。以上の理由から研究の進捗に一定程度の遅れが生じることとなり,研究期間の1年延長を申請するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年間の延長により2018年度が研究の最終年度となるため,以下のとおり研究を推進し成果の公表を行う。 (1)当該年度に実施した北欧のデンマークならびにフィンランド訪問調査から得られた成果をもとに教育学会(2018年8月)での口頭発表等を行う。 (2)初年度~本年度にかけて実施した文献調査,国内ヒアリング調査ならびに海外調査によって得られた資料・調査結果を整理し,科研成果報告書として公開を図る。 (3)上記(1)・(2)によって得られた成果をより精緻に検討したうえで,査読付き学術雑誌への投稿または出版による当該調査研究成果の公表を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
〇理由:2017年2月に海外調査を予定していたものの,同時期の体調不良により海外調査を実施することができず,学会報告等のための十分な研究成果を得ることができなかった。そのため,旅費の執行額が当初の予定を下回り次年度使用額が生じる結果となった。
〇使用計画:研究期間の延長申請により,向後1年の間に研究成果発表を中心とする学会参加と補足調査を予定していることから,次年度使用額の全額が執行される見込みである。
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