研究課題/領域番号 |
15K17358
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
植田 千賀子 (田中千賀子) 武蔵野美術大学, 造形学部, 講師 (10711674)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学校園 / 新教育 / 長野県 / 諏訪市 / 植物園 / 森林教育 / 学校林 / 総合学習 |
研究実績の概要 |
2019年度は、大正期の学校園を現在の実践をふまえて総括していくために、森林教育や野外教育の研究者を含めた研究会などを設けて研究成果の検討をおこなう計画であった。また本研究を発展させた研究課題として「近代日本の初等教育における森林・林業教育」(2019~2022年度科学研究費助成事業[若手研究課題番号16K04506]/研究代表者田中千賀子)によって、両研究に重なる長野県を対象とした調査によって多角的な考察をおこなうことを目指した。 現在の実践事例については、森林教育の事例を参与観察し、小学校の総合学習における地域や専門家との連携をめぐる課題などについて考察し、この成果を教職課程の教科書にて分担執筆した(田中千賀子「第13章 環境保全をめぐる総合学習」高橋陽一編著『総合学習とアート』武蔵野美術大学出版局、2019年4月、203-216頁)。長野県の事例については、諏訪市高島小学校を対象を加え、宮坂朋幸を代表とする同小学校の所蔵史料の調査に参加して、本研究における調査との比較をふまえたうえで研究成果報告書において「植物園日誌」の史料紹介をおこなった(田中千賀子「史料紹介「植物園日誌」」宮坂朋幸編『学校所蔵史料の総合的研究―近世から現代に至る学校と地域の関係史―』(2016 ~2019年度科学研究費助成事業[基盤研究(C)課題番号16K04506]研究成果報告書/研究代表者宮坂朋幸)2020年3月、79―86頁)。 本研究の総括については、大正期における奈良女子高等師範学校附属小学校の新教育に関わる「学習園」の事例や、長野県などにみられる学校林などの関連施設と関わる事例を、明治期から大正期までの学校園の展開のなかに位置づけて通史的に論じた(田中千賀子「教育史からみた自然環境のとらえ方-近代日本の学校園を中心に」『発達』159号、ミネルヴァ書房、2019年7月、71-76頁)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大正期の学校園について、新教育実践において着目された学校園の事例や、関連施設である学校林を含めた事例をとりあげることで、現在の環境教育、森林教育などを含む総合学習に通じる観点を確認することができた。また新たに確認できた長野県諏訪市の高島小学校の関連史料の紹介によって、他分野の研究者と共同でおこなう学校園研究の横断的検討の必要性が提示された。一方で、出産育児にともない、2019年6月より研究を中断しており、研究会での議論や、史料収集の成果の公表などには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に新たに確認できた高島小学校の史料「植物園日誌」などについては分析の余地が残されており、研究会での横断的な議論をふまえた考察を続け、発表の機会を設ける。また本年度までの史料収集の成果についても、概略をまとめて資料集などのかたちで公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
出産育児のため研究会参加などが行えなかった。よって次年度に参加を再開し、費用に充てる計画である。
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