研究課題/領域番号 |
15K17361
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研究機関 | 浜松学院大学 |
研究代表者 |
池谷 美衣子 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 講師 (00610247)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ワークライフバランス / 社会教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、男女共同参画推進領域と労働行政等を対象に、ワーク・ライフ・バランス関連の学習講座における学習内容の現状分析に取り組み、ワーク・ライフ・バランスをめぐる学習課題の構造を解明することを目的とするものである。平成28年度は、主に男女共同参画推進領域における学習の現状把握、労働行政における啓発事業の現状把握、ワーク・ライフ・バランスと社会教育の理論的枠組みについての検討を行った。 まず、男女共同参画推進領域における学習の現状把握として、国立女性教育会館(NWEC)が構築している全国の男女共同参画関連施設の事業データベースを用い、ワーク・ライフ・バランスを課題とした学習講座の量的変遷とその内容について検討した。その結果、ワーク・ライフ・バランスが学習課題として設定されることで、「男性への男女共同参画意識の浸透」「労働事業」の事業分野に関する取り組みの層が強化されたことが明らかになった。 次に、労働行政における啓発事業の現状把握としては、過労死等防止対策推進法を根拠に平成28年度から実施が始まった厚生労働省事業「過労死等防止対策等労働条件に関する啓発事業」を対象にすることとした。これは、過労死等防止対策推進法を根拠に始まった事業で、中学・高校・大学に労働法に詳しい弁護士と過労死遺族がペアで派遣されることに特徴がある。事業の概要について把握し、実際の啓発事業の観察を行った。新規事業であるため、学習内容の構成、成果や課題などについて、今後検討・検証していくこととした。 加えて、ワーク・ライフ・バランスと社会教育の理論的枠組みについても検討した。社会教育において、生活課題・地域課題の解決の出発点とされてきた「集う」ことの困難に対し、ワーク・ライフ・バランス社会の実現が社会教育を推進する上での現代的な環境醸成の一つになりうることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題2(労働行政等におけるワーク・ライフ・バランス関連講座の学習内容の分析)については、労働組合によるワーク・ライフ・バランスを冠した学習講座が、管見の限り見つかっていない。また、労働行政によるものとして、過労死等防止対策推進法に基づく啓発事業に着目したが、実施は平成28年度からとなった。したがって、実施結果に関する情報収集は平成29年度以降となるため、平成29年度は研究課題2を重点的に進める必要がある。 また、研究課題3(学校教育におけるキャリア教育のカリキュラム計画に関する分析検討)については、研究課題2の対象事業の受け入れ先として関連すること、ワークルール教育の授業事例集を厚生労働省が発行していることなどから、労働行政から学校教育への働きかけが強まっており、研究課題の再検討と一層の精緻化が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で記述した通り、研究課題2への集中的な取り組みを行う。対象となる啓発事業については、厚生労働省関係者による過労死防止学会での報告や、過労死等防止対策推進全国センターの機関紙での情報、講義を担当した過労死遺族・弁護士との関係など、複数の方法で情報収集や検討が可能になっており、資料収集とヒアリングなどを進めていく。 また、男女共同参画推進領域については、特定の事例へのインタビューの実施可能性について、NWECデータベースを元に検討する。
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