本研究は、男女共同参画推進領域と労働行政等を対象に、ワークライフバランス関連の学習講座における学習内容の現状分析に取り組み、ワークライフバランス をめぐる学習課題の構造を解明することを目的とするものである。 2018年度は、2017年度に立ち上げた神奈川県内の弁護士・過労死遺族との「啓発授業検討会議」の蓄積を踏まえながら、労働に関する教育啓発事業の現状と課題について、理論的検討を含めて整理し、成果としてまとめることができた。 また、労働と生活に関わる女性対象の公民館事業を対象に、受講者の追跡調査を行い、公民館事業での学習経験とその後の労働や生活の状況の関連について、研究成果を発信することができた。 さらに、日本社会教育学会のプロジェクト研究「ワークライフバランス時代における社会教育」に関わり、定期的な研究会を開催することができた。この研究討議に参加することを通じて、本研究で設定した労働行政・男女共同参画行政からのワークライフバランス関連の学習講座という視角について深めるとともに、貧困問題、協同労働、労働する者であることを前提としがちなワークライフバランスの枠組みでは位置づけられにくい障害者や、労働から阻害され、生活者としても制限を受けてきたハンセン病回復者など、多様な観点から検討をすることができた。
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