研究課題/領域番号 |
15K17362
|
研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
加島 大輔 愛知大学, 文学部, 准教授 (90555442)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 公立・私立 / 教員養成機関 / 小学校教員 / 各種学校 |
研究実績の概要 |
昨年度の資料調査で把握したように、本研究に関係する史料は非常に断片的なものが主である。そのため、まとまった文書史料を発見するか、あるいは断片的であっても可能な限り多くの史料を収集するかという方法が考えられる。今年度は、その双方を追求するために、滋賀県県政史料室、大阪府公文書館、大阪府立図書館、福井県立文書館、石川県立図書館での資料収集を行った。この結果、設置主体さらには設置時期も多様な小学校教員養成機関についてまとまった文書を収集するには至らず、今後も断片的であっても多くの史料を収集する方向性を主とした方向性としてとらざるを得ないことを確認することができた。 このような史料の状況にあっても、次のようなことは確認することができた。すなわち、いずれの府県にあっても、公的な機関・私的な機関を柔軟に利用するという基礎的な考え方は共通していることである。さらに、その機関の設置は、師範学校との緊張関係のなかで顕在化する場合もあれば、まったくそのような法的根拠を考えずに設置される場合など、いくつかの類型化を試みることが可能であるように思われた。 こうした資料収集の中間段階での到達点について、6月に行われた比較教育社会史研究会2016年度春季例会(於愛知大学名古屋キャンパス)において「明治期教員史・教員養成史の再検討―教師の職業的自覚・教員養成の「公」性「私」性の問題から―」と題して報告を行い、内容について批判的検討を受けることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度以上に本研究にエフォートを割くことが難しく、資料調査の回数は増加させることができたものの、その読解と構造化についてはさらに時間を必要とする。また、収集している資料が断片的であるために、まとまった成果報告は最終年度まで持ち越す可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度については、本研究により多くのエフォートを割くことができる予定であるので、調査先の増加も含めた資料調査の実施を急ぎ行い、読解と構造化に傾注する状況を作りたい。一部府県では、必ずしも公私立の教員養成機関についての直接的な資料ではないものの、他の資料によって補うことも可能であると考えられる。そうした周辺資料の探索も含めた資料調査を行って、来年度の早い時期に比較軸を作り出すことをめざす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、予定していた資料調査の一部が行えなかったため、今年度に旅費の繰り越しがなされていた。本年度は昨年度の分も含めて資料調査の回数を増加させることができたものの、最終的には一部調査先がさらに来年度に繰り越さざるを得ない状況となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度に調査ができなかった、筑波大学中央図書館など、各府県の教育雑誌が集中的に収集できる場所への調査を増やすなど、可能な限り研究計画に実態を近づけていきたい。なお、来年度は本研究に昨年度以上にエフォートを割くことのできる状況が予定されているため、調査の遅れという問題は解消できるものと考えられる。
|