研究課題/領域番号 |
15K17365
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
照屋 翔大 茨城大学, 教育学研究科, 准教授 (90595737)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学校認証評価 / 学区認証評価 / システム・アプローチ / 学校改善 / 教育委員会事務局 / リーダーシップ / アメリカ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アメリカにおける「学区を基盤にした学校改善」という学校改善理論とそれを促す評価システムに着目し、学校改善に向けた教育委員会の取り組みと学校との協働性構築の要件について明らかにすることである。 平成29年度は、アメリカの教育経営・教育行政専門学会の一つであるUCEA(University Council for Educational Administration)が刊行するジャーナル類(Educational Administration Quarterly:EAQやUCEA Monograph Series)に掲載された論稿を中心に、学校改善に資するリーダーシップ、とくに教育行政官のリーダーシップとその養成のあり方について検討を進めた。前年度までの研究によって、アメリカにおける学校改善の視座が、個別学校単位から学区というシステムレベルに移行しつつある状況を確認したが、今年度はそれを支える学区レベルのリーダーシップの要件について検討することができた。また前年度中に実施した現地でのインタビューデータの精査を行い、認証評価基準を下敷きにしながら進められる教育委員会事務局と学校との改善に向けた取り組みの特徴析出を試みた。 加えて、システムレベルでの学校改善を促そうとする実践事例について情報収集を進め、これまで着目してきた学区認証評価とは異なる性質を持つ学区を基盤とした学校改善施策の存在を確認することができた。これらの事例については年度内に調査を実施することができなかったため、次年度以降の調査対象として位置づけ、引き続き検討に当たることにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、理論的研究において一定の進捗を得ることができた。また前年度に実施した海外調査について資料およびインタビューデータの整理を進めた。しかし、今年度に実施を予定していた次の調査については予定通りに進めることができなかった。まず海外調査については、教育委員会と学校の協働的な評価活動の中でも、州教育行政当局と認証評価協会が共同して実施する学校評価の類型として、ノースダコタ州およびジョージア州を対象にインタビュー調査を実施する予定であったが、渡航スケジュールの調整が難航し実現することができなかった。また国内調査についても、当初予定していた訪問調査を実施することができなかった。そのため、本年度については「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度になるため、研究総括が中心的な取り組み課題となる。ただし、本研究を構成する各要素につき、以下の点での積み残しがあるため、これらの課題に取り組みながら、総括的考察を進めていく。 理論的研究:システム・アプローチの観点を視座に持つマイケル・フランの理論を手掛かりにシステム・アプローチを重視した学校改善を促進する教育行政および学校経営上のリーダーシップのあり様を検討し、教育委員会と学校の協働性構築の要件を考察する。 海外調査研究:昨年度実施予定であった認証評価活動の調査と合わせて、Education Commission of the States(ECS)を通じて、全米での協働的評価活動の進展具合を確認する。またカリフォルニア州で展開するシステム・アプローチに立つ学校改善施策において評価活動がどのように位置づいているのかについて調査を実施する。 国内調査研究:アメリカにおける認証評価活動を構成する要素(同僚性を核にした評価、教育行政と学校の協働的な評価活動の実施)と類似した特徴を持ちながら学校評価(第三者評価)に取り組んでいる自治体での調査を実施し、アメリカでの認証評価活動との相違点について比較検討する。また、前年度まで関わってきた実践事例自治体においてもその後の学校評価・教育委員会評価活動の展開についてインタビューを実施し、教育委員会評価と学校評価において評価項目の一体性を重視した実施形態の成果と課題について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度当初に予定していた海外調査および国内調査を計画通りに実施することができなかったことが次年度使用額が生じた理由である。平成30年度は、これらの繰越金を海外調査を実施するための渡航費として活用し、効果的かつ効率的に調査を実施する計画である。
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