本研究の目的は、大学生の学習とキャリア形成の関係構造についての理論的・実証的枠組みの構築を図ることである。本研究では、大学生の学習とキャリア形成の関係構造として、経験学習とその中のリフレクションのダイナミクスに焦点化して進めてきた。 2017年度には、理論研究として、人生目的についての研究と大学生の将来の見通しの機能を考察した“How do future life perspective and present action work in Japanese youth development?”(Journal of Moral Education)をまとめた。理論研究として、「リフレクションのプロセス・モデルの検討」(京都大学高等教育研究)をまとめた。本研究では、経験学習の移行プロセスを生じさせる構造を説明するEngestromの探究的学習モデルを基にし、Schonの省察的実践論と縫合することで経験学習のリフレクションのプロセス・モデルを構築した。また、「経験学習におけるリフレクション再考」では、ボランティア活動の実践における学生のリフレクションの語り(ナラティブ)を扱う研究を総合し、リフレクションのプロセスが持つ重層性と、リフレクション・プロセスの中での自己と社会の関わりようを考察した。実践研究として、「体験の言語化」実践をナラティブ・インクワイアリーの枠組みと結びつけ、“How does focusing students‘ feeling and social structure deepen students’ reflection in narrative inquiry?”(IARSLCE)を発表した。実践研究の成果として、早稲田井田学平山郁夫記念ボランティアセンター編『体験の言語化実践ガイドブック』を共同執筆した。
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