2019年度は,コアカリキュラム連盟の機関誌『カリキュラム』を手がかりに,問題解決学習に関する実践研究についての検討を行った。 (1)問題解決学習における知識の位置づけの検討 コアカリキュラム連盟の全国集会では「単元習作」という単元づくりのワークショップが実施されていた。例えば,単元「のりもの」(小学2年)の記録(『カリキュラム別冊 単元学習の研究』1952年6月)では,「予想される問題点」と,その問題を解決して活動を発展・充実させるための information としての知識が位置づけられていた。しかし,活動を通じて子どもはどのような認識を形成するのかという knowledge としての知識についての検討は十分になされていなかったことが明らかとなった。 (2)実践研究の質の検討 コアカリキュラム連盟の問題解決学習論の基盤となっていた代表的な実践研究は,全国集会での「単元習作」と機関誌『カリキュラム』における実践記録の検討であった。①子どもの解決可能性と②子どもの認識形成の2点から検討したところ,「単元習作」では児童の実態についての情報が乏しいため,①については予見的に構想はできるものの実態に基づいた検討はなされていなかった。また,『カリキュラム』における実践記録の検討においては,個々の子どもの学習の様子を判別できる実践記録が少ないため(例えば「水害と市政」1953年11月号のように,個々の子どもの様子が部分的に読み取れる実践記録もある),①②ともに,授業者が大まかに見取った子どもの様子に基づいて検討せざるを得ず,子どもの実態から十分に批判的に検討できたとはいえないことが明らかとなった。 以上のことから,コアカリキュラム連盟の問題解決学習は,子どもの実態を十分に踏まえられなかったという「研究の質」の問題があり,「実践の質」の検討を十分にできなかった可能性が指摘できる。
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