本研究課題をつうじてシュタイナー教育において芸術教育と道徳教育が不可分の関係にあることが解き明かされた。芸術教育をつうじて道徳教育が果たされるのである。本研究では、その独自のカリキュラムを支える思想的基盤を明らかにすることができた。また、シュタイナーの道徳教育においては、自己解放に基づく「笑い」が極めて重要な要素となっており、そうした「笑い」は「自由」へと通じてゆく。シュタイナーの人間形成論において、自由の獲得は最重要テーマであるが、シュタイナー教育における「笑い」の位置づけを解き明かすことによって、そこでの道徳教育のあり方の本質が浮き彫りになった。
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