本研究は、多文化社会ドイツに生きる青少年の日常性にある共生への葛藤を出発点に、それを乗り越え、多文化共生社会の実現に向けて行動を起こしうる青少年の育成を目指した教育活動に着目し、その理念、理論的背景、教育内容及び具体的教育活動を明らかにした。特に、青少年の日常性にある共生への葛藤を把握するために、かれらの語りを活用したアンネ・フランク・センターとチェンジ・ライターズの活動に着目した。これらから、①物語ることによる青少年のエンパワメントと周囲への波及効果、②物語を生成する異文化間教育の理論的基盤、③物語の異文化間教育「教材」としての主体的発信、④2013年異文化間教育勧告との関連を提示した。
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