本研究課題では、第三段階教育との接続の観点から現代日本の職業系専門高校についての調査・分析を行った。調査したのは、工業高校が九州地方と東北地方で1校ずつの計2校、農業高校が九州地方で1校である。工業高校調査では、高校3年生を対象とし、地場産業と高大接続の観点から希望進路の質問紙調査を集合自記式で実施した。農業高校では、卒業生を対象とし、農業高校教育の振り返りおよび卒業後のキャリアについての質問紙調査を郵送法で行った。またそれぞれの高校において、管理職教諭および進路指導主事に対する聞き取り調査も実施している。
上記調査の結果、中等職業教育は、地域の人材育成のスタート地点という観点から考察する必要性が浮上した。例えば、農業高校の卒業生は、地元の大学農学部への進学・卒業を経由して農業高校教諭へとなることが期待されている。すなわち、高校での農業教育だけに価値を置くのではなく、あくまでスタート地点としての位置づけに着目した社会学的な機能を考察する必要があることが明らかになった。
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