研究課題/領域番号 |
15K17379
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
古田 和久 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70571264)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育と職業 / 学校教育の意義 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,複数の大規模社会調査データを活用し,教育と職業との関係および関連メカニズムについて,客観的・主観的観点からその実態を明らかにすることである。初年度である平成27年度の研究計画は,(1)教育と職業・所得に関する国内外の先行研究の収集・整理,および(2)既存のデータを用いた教育と職業に関する基礎的分析・予備的検討,などであった。 こうした計画のもと,教育と職業・所得に関する研究を収集・整理を継続的に進めるとともに,既存データの基礎分析を行った。具体的には,1955年から2005年までの「社会階層と社会移動全国調査(SSM調査)」データを用いて,教育と職業の関連を長期的な視点から調べた。その結果,教育と職業の関係は比較的安定していることが明らかとなった。また,「教育・社会階層・社会移動全国調査」を用いた教育と職業の主観的関連についての検討からは,最終学歴によって学校教育の意義に対する評価が異なること,そうした評価の違いには学生生活歴に対する認識が大きく関与していることが分かった。そのほか,高校生とその母親を対象とした調査(「高校生と母親調査,2012」)から,学校生活感や将来の職業の見通しが大学進学の選択にどのようにつながっているかを分析した。結果,「学校不適応」な大学進学層は将来の職業的地位を見据えて大学に進学する傾向が弱いこと,などが示された。また,ジェンダーに関する検討としてOECD「生徒の学習到達度調査(PISA)」の分析を行った。これらの結果をもとに,日本教育社会学会や研究会での報告を行うとともに,論文の執筆を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会での報告やそれを踏まえたうえでの論文執筆・発表などを行っており,概ね当初の計画通り進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでSSM調査データを中心に,世代や対象が異なる多様なデータを用いて,教育と職業との関連や,それが進路選択に及ぼす影響について検討してきた。今後は,最新の2015年SSM調査データの分析などにも着手し,教育と職業の関連に関する最近の動向を追うとともに,そのことが教育機会の不平等に持つ意味の解明などを目指し,階層化における教育の役割を探究する。研究成果については,学会で報告し,論文の執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定額との差額が生じたのは,学内業務との関係で出張期間を短縮せざるを得なかったこと,および物品購入額が予定をやや下回ったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り,社会階層と教育関連の文献の購入および学会報告のために研究費を使用する。
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