本研究は複数の社会調査データを用い、学校教育と職業との関係について客観的側面と主観的側面の両方に焦点をあてた検討を行った。その結果、(1)高学歴化が生じたにもかかわらず、学歴と職業の関連は弱まらず学歴の地位配分機能は安定していること、(2)人々の意識においては、専門学校卒で学校教育が「仕事で役に立った」と「専門的知識が身についた」への評価が高い一方、大卒者において「幅広い見方・考え方」を獲得したと認識する者が多く、この意識差は学生生活歴の違いを反映していること、さらに(3)社会階層は多次元の構造を持ち、家族の保有資本量と構成が次世代の子どもの教育にも影響していることなどが明らかとなった。
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