最終年度は、(1)学会での口頭発表、および(2)日本語・英語の両言語での論文の執筆と投稿、(3)授業研究以外の事例を用いた教育借用試論の検証、を実施する計画を立てていた。 (1)については、2019年8月開催の日本教育学会にて、日本語での発表を実施し、有益なコメントを得ることができた(荻巣崇世,「授業研究の国際的な伝播と循環のポリティクス:教育借用理論の再構築」,第78回日本教育学会大会,東京,2019年8月)。国際学会については、2020年3月にマイアミで開催予定であった北米比較・国際教育学会(CIES)がキャンセルとなったため、発表が叶わなかった。 (2)について、日本語論文を執筆し、所属先の紀要に掲載された(荻巣崇世,「授業研究の国際的な伝播と循環―日本国内の授業研究言説の変遷に着目して―」『東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センター 研究紀要』第5号,117-132頁,2020年3月)。英語の論文については、現在査読の結果待ちの状態である。 (3)に関しては、日本比較教育学会において、若手研究者を中心としたグループでラウンドテーブルを開催した。 最終年度の目的は、本科研プロジェクトの研究結果を発表し広くその成果の意義を問うことであったが、(1)から(3)を実施したことで、この目的はおおよそ果たすことができた。ただし、国際学会での発表や英語での論文などによる国外への研究成果の発信という点においては、十分に目的が果たせなかった。特に英語論文の投稿については、採択に至るまで粘り強く修正・投稿を続けていきたい。
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