研究課題/領域番号 |
15K17384
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芦田 明美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特別研究員 (30749164)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際教育開発 / 修学実態 / ホンジュラス / 縦断的データ / 歴史的社会背景 / 国内比較 |
研究実績の概要 |
研究二年目の本年度は、関連資料の収集、修学パターン分析、学会での研究成果発表を実施した。1980年代から90年代前半にかけての国家教育戦略、関連教育報告書、援助機関発行の関連文書、当該国の歴史に関する文書等を収集し、歴史的社会背景および教育制度・政策を整理した。 修学パターン分析に関しては、地域特性の異なる3地域における比較分析を行った。分析対象は1986-94年度における対象校への入学者、山間部地方都市1,210人、都市部757人および島嶼部40人である。1)修学パターン、2)卒業パターン、3)退学パターン、4)入学時年齢別修学パターン、5)男女差、の5つの観点に着目して分析を実施した。その結果、1)修学パターンに関しては、地方都市と同様、都市部においても最頻出のパターンは留年無しのストレート卒業であり、次いで低学年次での退学であった。特に、地方都市では修学パターン全体における最頻出のストレート卒業の占める割合が29%であったのに対し、都市部では全体の45%を占める。2)卒業パターンにおいては3地域ともストレートでの卒業パターンが最も多い。特に、地方都市におけるストレート卒業の割合が29%であるのに対し、都市部では72%と他地域と比較して高い。3)退学パターンに関しては、3地域に共通して入学後早期における退学が多く見られた。4)入学時年齢別の修学パターンを見ると、地方都市では5歳から9歳以上での入学と入学年齢に散らばりが見られたが、都市部では適正年齢の5-6歳での入学が全体の半分以上を占める。また、留年を含む退学のパターンは頻出上位1位および2位には含まれておらず、3位から含まれる。5)男女差に関しては3地域とも差が見られず、男女において同様の修学パターンの傾向が見られた。 本分析に関してはさらなる詳細な分析が必要となるため、引き続き実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究対象国であるホンジュラス国全体における治安の問題のため現地調査の実施は見合わせたものの、現地での研究協力者による歴史背景資料およびデータ等の収集を実施することができた。また、これまでに収集および構築したデータベースの精緻化を行い、分析を実施した。分析の過程においては、研究協力者とスカイプやメール等を通じて定期的にコンタクトを取り意見交換を行う等して、分析結果の考察に生かした。また、これまでの研究成果は国内外の学会において発表するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査についてはホンジュラス国における治安の問題を考慮しながら、研究代表者による渡航を検討する。治安悪化により研究代表者が渡航できない場合には、本年度同様、現地の研究協力者によるサポートを受けながら研究課題遂行の体制を取る。今後はこれまでに収集した歴史社会背景資料の整理および読み込みを進めつつ、データ分析を行い、各種資料を有効に用いて分析結果の考察に生かす。また、国内外における学会にて研究成果の発表を行うことを目指す。その後、発表内容をまとめ国内外の学術雑誌への投稿を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究対象国であるホンジュラス国全体における治安の問題のため、本年度の研究代表者による現地調査の実施を見合わせた。当初計画していた現地調査の海外渡航にかかる旅費の支出を行わなかったことにより、次年度使用の助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金および翌年度請求分の助成金については、今後の現地調査実施および国内外の研究成果発表に伴う旅費に使用する予定である。また、学術雑誌への論文投稿に伴う必要経費に支出する。研究の進捗を考慮し、必要に応じて研究遂行にかかる消耗品や謝金への支出を検討している。
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