研究課題/領域番号 |
15K17386
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
湯川 やよい 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (20723365)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ハラスメント / マイノリティ / 非伝統的セクター / 問題経験 / ジェンダー / ナラティブ |
研究実績の概要 |
ハラスメントの構造的背景を非伝統的なマイノリティの視点から明らかにすることを目的に、インタビュー調査およびマイノリティの問題経験の主題化と複数事例の横断分析にかんする文献調査を行った。 まず、調査協力を得られる予定であった調査対象者とのラポール状況の変化等を理由に、前年度末に調査計画の大幅な変更を行った。主な変更点は次の3点である:1)関連する共同研究等を介してアクセスできたケースを分析データとして加える、2)海外議論を踏まえた考察を行う、3)理論的飽和にもとづく仮説生成だけを目指すのではなく、少数事例の分析も行う(特に、留学生のケースについては性急な一般化を行わず、論点の析出にとどめることとした)。 変更した計画に基づき、補足的なデータを加えての一定の分析を進めることができた。その結果の一部を、年度前半に行った文献研究の結果(主に日本と英語圏での言説状況の比較)と合わせて考察し直し、英文論文として発表した。だが、文献研究を進めたところ、その理論的統合には更なる時間(特に、高等研究領域以外の領域横断的な文献研究)を要することがわかった。また、ラポール関係を維持できた少数ケースのみ、論点の一部を別の英語論文としてまとめ投稿したものの、掲載には至らず、再分析の必要があることもわかった。 以上から研究の完成には当初予定していた以上の時間がかかると判断し、補助事業期間延長の申請を行い、承認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析作業そのものは順調に進展したものの、その結果を理論的に質の高い枠組みのなかで統合化する作業において、当初想定していた以上の作業を行う必要性が確認されたため。
具体的状況:調査協力を得られる予定であった調査対象者とのラポール状況の変化等を理由に、前年度末に調査計画の大幅な変更を行った。当該年度中は、変更した計画のもと文献調査の一部および、新たに分析の対象として加えたデータの分析、補足調査にかんしては、概ね順調に進捗させることができた。だが、それらの検討が進んだ結果として、以前のデータと新たなデータを同じ枠組みのなかで統合的に分析することが難しいことがわかり、より広範な研究領域にわたる理論検討の必要性が、新たに判明した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、昨年度の学会活動を通じて、ナラティブ分析の方法論を専門とする研究者をはじめとする関連諸領域のネットワークが広がったため、アドバイスを得ながら文献検討を進めることで、昨年度リジェクトされた論文の再考察・修正を行う見通しである。 また、昨年度中に接触できたインフォーマントについては良好なラポールを継続できているため、今後の分析プロセスのなかでさらに追加調査が必要となった場合には、随時実施する予定である。 以上のとおり、理論的統合作業を軸に作業を進めつつ、必要に応じた追加データの収集も進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に変更した研究計画のもと調査と分析を進めた結果、(1)新たな理論的検討作業のための当初想定していた領域より広範な範囲での文献検討、(2)追加調査とその分析、(3)再分析と論文の書き直しに際する専門研究者の助言、校閲作業などが必要になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文校閲(「その他」に計上)、資料・文献収集と検討(「その他」「物品」に計上)、追加調査(「その他」、「旅費」に計上)、データ再考のための打ち合わせ(主に「旅費」に計上」を中心に行う。
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