本研究では、国際理解教育と「地域」との接合が求められる理由を理論的に究明するとともに、国際的視野を組み込んだ地域学習の実践的指針の構築に取り組んだ。1980年代以降の国際理解教育は国際貢献という政策課題への対応を重視する一方、「多文化共生」を除いては日本社会内部の問題状況に向き合う関心は低調であった。そのため、「多文化共生」へのリアリティを持てない地域では、国際理解教育と地域を関連づける理論的言説や実践的指針が不足してきたことを指摘した。そのうえで、世界/国家/地域を往還する見方・考え方の育成が求められていることを明確化し、そうした資質育成に資する学習の類型的枠組みを提案した。
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