研究課題/領域番号 |
15K17395
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大嶌 竜午 千葉大学, 教育学部, 特任助教 (40700414)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 実験計画 / 認知的活動 / 妥当性 / 科学的探究プロセス / 科学的探究能力 |
研究実績の概要 |
実験計画に関する指導の充実は,日本のみならず世界各国における共通の課題となっている。本研究では,子供の認知的活動を促進する「実験計画の指導方法」の在り方を,海外の複数の研究者等と協働し明らかにすることを目的としている。 平成27年度には,関連文献の精査と共同研究者間での共有を図ることを,主な課題として取り組んだ。本研究では,実験計画場面における生徒の認知的活動の促進を目指すものであり,実験計画の際に検討すべき実験活動の手続きとして,実験方法やデータの妥当性を中心的な要素として選択した。また文献調査から,実験方法やデータの妥当性に関連する要素を整理し,それらの関係性を明確にするとともに,本研究で取り扱う実験活動における手続きの範囲を確定した。 また,認知を促進する要素として情意の重要性を共同研究者間で共有した。実験計画の立案に取り組んだ生徒を調査し,生徒の感想を分析した結果,生徒は実験計画へ取り組むことを非常に困難であるものと認識していること,その一方でその難しいプロセスに取り組んだことに対して満足感を得て,自分自身で実験計画を立てることの意義を実感したことなどが明らかにされた。生徒の認知的活動を促進するための指導方法を検討する際に,これらの知見を考慮することが確認された。 別件業務でインドネシアを訪問した際に,インドネシアの小中学校を訪問し,学校の様子,実験室の状況などを確認した。また,カリキュラム改革により,実験活動の充実が求められていること,その一方で,探究的な実験活動とはなりえていないこと等が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査や,本研究の予備調査としての生徒の認識調査は順調に取り組まれてきた。 しかしながら,科学的探究プロセスの実践性と認知性の両者の線引きに関する検討は,予定よりも遅れている。その理由としては,当初,海外の協同研究者に来日してもらい,日本の理科実験活動の授業を観察してもらうことで,科学的探究プロセスの性質やそれに関する教師の取り扱い方を議論し共有する予定であったが,共同研究者の中心人物が,所属大学の業務の都合で当初予定していた日程では来日できなくなったためである。日程の再調整を試みたが,実現できなかった。そのため,平成28年度に実施する予定の調査方法に関しても具体的な検討をすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
第一に,本年度実施予定の中学校教員及び生徒の認識調査について共同研究者とその詳細を議論する。もし,先方の都合により,来日し同じ授業を観察することによって調査計画を立てることが困難な場合は,メールやスカイプを効果的に使用し,議論する。 第二に,その議論を踏まえ,具体的な調査質問項目を作成し,調査を実際に実施する。調査実施時期については調査校の都合を第一にする。質問項目は英語に翻訳することにより,共同研究者間で共有を図るとともに,クリアな質問項目にする。 第三に,教師に実際に指導案を作成してもらい,教師の認識が指導案にどのように具現化されるのか分析する。 第四に,指導案を基に実践される授業を参与観察し,実際の授業と指導案との関係性を検討する。授業後には教師に半構造化されたインタビューを実施することにより,教師の評価も分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度実施予定であった,外国人研究者の日本への招聘が,先方の業務の都合により,何度か日程調整したものの実現できなかったため,招聘にかかる諸経費及び研究打ち合わせに関わる諸経費を平成28年度分に繰り越したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分は,平成28年度に招聘を実施することにより,使用される予定である。もし,招聘が再度不可能になった場合は,こちらから出向いて,検討を図る可能性があり,その経費として使われる予定である。
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