本研究は、札幌市の定時制高等学校において展開されている「実社会の生産活動と連動した地域連携型キャリア教育プロジェクト」を対象としてフィールドリサーチを実施し、高校教育から労働活動への移行過程を再編成する教育実践の可能性を検討した。実践研究の結果として、既存の社会に適応していくことを準備させるだけでなく、既存の社会を維持し、創造し変容させていくという挑戦を準備させることを含めたキャリア教育が必要であり、その実現にあたっては生徒たち(若者世代)の学習活動とそれを支える教育関係者と職場関係者とが学び合う研修活動とを相互に作用させる媒介的な実践共同体が不可欠であることが明らかになった。
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