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2018 年度 実施状況報告書

算数・数学科授業にみる相互行為の構造に関する研究:発問-応答過程を視点に

研究課題

研究課題/領域番号 15K17398
研究機関奈良教育大学

研究代表者

舟橋 友香  奈良教育大学, 数学教育講座, 准教授 (30707469)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2021-03-31
キーワード数学科授業 / 熟練教師 / 数学の言語性
研究実績の概要

本研究の目的は、日本の経験豊富な教師による算数・数学科授業における相互行為のパターンを発問-応答過程を視点として特定し、その展開にみる教授行為・学習行為の特質を明らかにすることである。平成30年度は、次の2つのことに取り組んだ。
第一に、奈良教育大学附属中学校に協力を依頼し、中学校数学科における「数と式」領域に関する授業データを新規に収録した。平成30年4月12日から6月13日にかけて、1週間に1回程度の頻度で訪問し、ICレコーダーによる音声の記録ならびにiPadによるフィールドノートの作成と写真の撮影を行った。数学科授業を観察した後に、休み時間や教師Tが担当する授業のない時間にインタビューを実施した。インタビューでは、あらかじめインタビューの項目は設定せず、直前に観察した授業で気になったことや教師Tが考えていることなどをその都度確認する形で進めていった。授業観察の総時間は23時間20分、インタビューの総時間は7時間28分である。
第二に、得られたデータの分析を行い研究成果の発表を行った。教師が意図している数学用語を生徒に答えさせていくという一つの行為が、多様な次元において意味をもつことを明らかにした。具体的には、ある特定の生徒との相互行為でありながら、他方で学級全体、学年全体への影響を意図したものであったこと、並びに利用する乗法公式の識別という局所的な数学的内容に関わるものでありながら、他方で数学への対峙の仕方を学ぶというより大局的な視点をも含むことを示した。特に、言葉にこだわり数学へ対峙することに価値をおくことの理由について、言葉がものや性質を認識する焦点の置き方を決定するという数学の言語性の観点から指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度は、予定通りに新規の授業データを収集し、その分析結果を発表することができた。この点において、研究は順調に進展しているといえる。他方で、これまで得られた知見を総合するまでには至っていないことや、中学校数学科における「関数」領域のデータを得ることができなかった。この点について課題が残っている。

今後の研究の推進方策

平成31年度は最終年度にあたる予定であったが、7月12日より産前産後休業及び育児休業を取得する予定であり、最終年度に予定していた内容の一部を次年度に延期する。具体的には、奈良教育大学附属中学校の協力を得ながら、新規の授業データの収集は平成31年度に行うが、その分析及びこれまでに得られた知見を総合して研究成果を発表することに関しては、次年度に行うこととする。

次年度使用額が生じた理由

当初は国際学会での研究成果の発表を予定していたが、参加することができなかったため繰越金が生じた。平成31年度は産前産後休業及び育児休業を取得予定のため、令和2年度に行われる国際学会(ICME14:上海大学)における研究成果の発表のために使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 数学の言語性に基づく数学授業の構築:熟練教師の実践を手がかりに2018

    • 著者名/発表者名
      舟橋 友香
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 33(3) ページ: 219-222

    • DOI

      https://doi.org/10.14935/jsser.33.3_219

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 熟練教師の数学科授業にみる教科書の記述を補う教授行為に関する一考察 -「因数分解」の指導を事例に-2018

    • 著者名/発表者名
      舟橋 友香
    • 学会等名
      日本教材学会
  • [学会発表] 数学科授業において数学用語にこだわることの意味2018

    • 著者名/発表者名
      舟橋 友香
    • 学会等名
      日本数学教育学会

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公開日: 2019-12-27  

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