研究課題/領域番号 |
15K17399
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
川崎 弘作 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (80710805)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 理科学習の意義 / 理科学習への動機づけ / 日常生活との関連 / 自己決定理論 / 科学的能力 / 相互評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「理科学習の意義」を「科学的知識(日常生活との関連)」だけではなく「科学的能力」からも認識させる学習モデルを開発することを目的としている。このために,H27年度は,①中学生を対象に,「理科学習の意義」の認識と「理科学習への動機づけ」との関連について,②高校生を対象に理科学習の中でもアクティブラーニング(以下,AL)の一つとして注目されている「相互評価活動に対する学習の意義」の認識と動機づけとの関連について明らかにした。その結果,次のことが明らかになった。 ①について,「理科学習の意義」を「科学的能力」あるいは「日常生活との関連」と捉えることは自律的な動機づけに正の影響を与え,両者のうち「科学的能力」と認識する方が自律的な動機づけに与える影響が相対的に大きいこと。また,「科学的能力」と認識することで,他律的な動機づけに負の影響を与えることが明らかになった。 ②について,「相互評価活動に対する学習の意義」を「科学的能力」あるいは「日常生活との関連」と捉えることは相互評価活動に対する自律的な動機づけに正の影響を与える一方,「日常生活との関連」と捉えることで相互評価活動に対する他律的な動機づけにも正の影響を与えることが明らかになった。 以上の成果から,「理科学習の意義」を「科学的知識(日常生活との関連)」だけではなく「科学的能力」からも認識することで理科学習に関する動機づけを高めること,また,「科学的知識(日常生活との関連)」から認識するとALに関する動機づけを低下させてしまうことが明らかになった。これは,日常生活との関連を推し進める国内の理科教育について,その危険性を伝えるインパクトのある結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と異なっている点は対象者の違いである。当初は小学生を対象に調査を行う予定であったが,その調査内容の性質上から研究協力者との協議の結果,中・高校生を対象とすることにした。 その他については,計画を達成していると判断できる結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は,当初の計画通り学習モデルによる実践および効果検証を行う予定である。実践校となる中学校には既に実践の了承が得られており,5月~6月に実践を行う計画となっている。
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