本研究の目的は,「理科学習の意義」を「科学的知識(日常生活との関連)」だけではなく「科学的能力」からも認識させることにより「理科学習への動機づけ」向上を志向した学習モデルを開発することを目的とした。H28年度において,高校生を対象に,短期型・長期継続型アプローチから成る学習モデルを開発し,実践を行ったところ,(1)「理科学習の意義」を「科学的能力」から認識させること,(2)「理科学習の動機づけ」を向上させることの2点についてそれぞれ向上させることができたと判断できる結果が得られた。しかしながら,対象者の違い(進学希望生徒,就職希望生徒)によって,その結果に差が生じたため,結果が得られなかった対象者に対する学習モデルの改善を行う必要性があるといった課題も残った。 以上の結果を踏まえ,本年度は中学生において,同様に実践及び効果検証を行ったところ,H28年度と同様に,(1)「理科学習の意義」を「科学的能力」から認識させることには有効であったものの,(2)「理科学習の動機づけ」を向上させることについては,十分に効果が得られたといえる結果が得られなかった。このため,「理科学習の意義」と「動機づけ」の関係について再検討を行うこととした。そして,再検討を行う際の視点を導出し,H29年度の研究を終えた。なお,再検討を行う際の視点として,対象者の特性の違いによって異なる結果が生じたことから,「理科学習の意義」が「動機づけ」に与える影響に対して媒介要因を想定すること,「理科学習の意義」に対する成長的要因を想定することの2点を導出した。
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