研究課題/領域番号 |
15K17401
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
福田 喜彦 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30510888)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 昭和戦前期 / 歴史教育 / 言説 / 学知 / 歴史教育雑誌 / 初等教育 / 中等教育 / 歴史教師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,昭和戦前期における<歴史教育>言説の生成と「学知」の構築過程を解明することである。 本年度は,「専門的学知」を取り上げてデータベース化した。「専門的学知」には,各時代を専門とする代表的な歴史学者が執筆を担当している。具体的な執筆項目を見てみると,「東洋古代史」「日本現代史」「西洋中世史」「満州史」「朝鮮史」「西域史」「東洋現代史」などが執筆されていた。そこで,歴史学者がそれぞれの時代をどのように描いていたのかを検討した。それによって,「歴史学」と「歴史教育」の接点から国史科を担当した初等教員にどのような時代像が求められていたのかを把握し,歴史授業に取り組むための教材研究のビジョンを考察することができた。さらに,『師範大学講座歴史教育』では,「歴史学」による学知だけでなく,考古学や民俗学,宗教学,哲学といった他の分野の学者たちも学知を提供していた。例えば,「日本仏教史」「日本民俗史」「日本芸能史」「東洋美術史」「日本経済史」「日本思想史」などが執筆されていた。 このような分析を通して,初等教員たちが教材研究を進める上で,どのように多様な学問的な成果を『師範大学講座歴史教育』から取り入れていたのかを解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,『師範大学歴史教育』(全14集)の分析を行った。その際,これまでの研究で史料収集を進めてきた『歴史教育講座』や『実践国史教育体系』などの歴史教育雑誌も含めて分析することで,初等教員に求められた歴史教育に関する「学知」と<歴史教育>言説の関係性を考察する基礎的な作業を行った。また,国立国会図書館や大学図書館,各種研究機関などにも出向いて関連する歴史教育関係の図書も収集した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,前年度に加えて『歴史教育講座』(全14集)を分析するとともに,『実践国史教育体系』(全10巻)の分析も行う。これらの分析を通して,昭和戦前期の歴史教育の理論的な学知の総合化を図る。また,歴史教育研究会が刊行した著作物についても収集・分析する。前年度と同様に本年度においても,国立国会図書館や大学図書館,各種研究機関などにも出向いて関連する歴史教育関係の図書を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,年度当初に予定していた物品(パソコン,プリンター,書籍など)の購入を次年度に繰り越したために,次年度使用額との間に差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額との間に生じた差額を解消するために,予定していた物品(パソコン,プリンター,書籍など)を本年度に購入する予定である。
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