本年度は,前年度に続いて『歴史教育講座』(全14集)を分析するとともに,実践的な学知の創出と形成の過程に焦点を当てて,『実践国史教育体系』(全10巻)の分析を行い,昭和戦前期の歴史教育の実践的な学知の総合化を図った。具体的な執筆項目を見てみると,「歴史教授法概論」「歴史の新指導法と其の機構」「国民精神関係教材」「思想史宗教史関係教材」「社会史経済史関係教材」「外来文化及内鮮関係教材」「歴史考査法」「郷土史指導上の諸問題」などが執筆されていた。このような分析を通して,「実践的学知」には,高等師範学校附属小学校の訓導や中学校の教諭たちが主に執筆を担当し,「実践的学知」の形成に大きな役割を果たしていたことが解明された。
|