本研究では,数学教育で育成されるクリティカルシンキングを,現実社会の文脈において捉える立場(広義)と,純粋な数学の問題において捉える立場(狭義)の二つの側面で捉え,その育成を目指した実践的な数学授業モデルを提案した。代表的な授業モデルとして開発した授業「自動車の購入」(中学校第2学年及び小学校第5-6学年において実施)では,授業の中で生徒達の様々な社会的価値観(公共性,道徳観,倫理観)が表出し,その問題解決においては,数学的判断に社会的価値判断を加えた多様なクリティカルシンキング(広義)を遂行する生徒達の様相を捉えることができた。
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