平成29年度は、これまでの調査に基づく教育プログラムの開発と、タブレットを利用したビジネスゲーム(以下BG)の学習環境の再構築を行った。そして、その実践と検証を授業において実施した。この授業実践と検証から、同期型BGの高等学校における利用効果の期待値は高く、PCの環境以上にタブレット環境が有効である可能性が示唆された。その結果、申請者が平成27年度から蓄積してきた研究成果に加え、開発した教育プログラムを検証することで、「モデル化とシミュレーション」の単元におけるBG利用の有用性が確認された。また、当初予測していた上記の内容に加え、1.プログラミング学習を念頭に置いた今後の発展性や、2.情意面における高い効果、を示唆した知見が得られた。詳細は以下の通りである。
1. BG環境であるPrice Gameの改良は、仮説モデルの開発と検証の過程で、問題発見から結果予測までのプロセスを理解において、プログラミング学習の導入効果が示された。ここでは、プログラミング言語としてPythonを利用したが、改良したPrice Gameを実践と並行して、モデル化の学習に、より結びつくプログラミング学習の効果が期待できることが分かった。
2. タブレットの環境は開発したBGの教育プログラムにポジティブな側面があり、高校生がBG学習でタブレット利用する場合、彼らの心の動きとの高い親和性、学習向上の可能性が明らかになった。授業の検証からはタブレットによる潜在的なパフォーマンスの向上が十分には実現できていないものの、タブレットの利用に焦点化した検証によるBG学習では、情意面に非常に高い親和性から、より高い学習効果が期待できる成果を示した。
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