研究課題
本研究は、多様な民族的・宗教的・文化的背景を持つ人々により構成される価値多元的なドイツ社会において、道徳教育のカリキュラム及び教授学習方法の変革がどのように展開しているのかを明らかにすることを目的としている。2018年度までの研究では、宗教科と倫理・哲学科のカリキュラム・授業実践・教師教育において、多様性を尊重するインクルーシブな学校教育の考え方の広がりの影響が見られることが明らかになった。2019年度前半には、日本語版実践哲学科教科書の監修を終え、8月に『ドイツの道徳教科書ー5、6年実践哲学科の価値教育』として出版した。また、The World Education Research Association (WERA)東京大会において本研究の成果を公表し、これを契機としてドイツの研究者との新たなネットワークを構築することができた。2019年度後半には、まず、講義科目「道徳教育の研究」において実践哲学科の教授学習方法を実験的に試み、教師教育のあり方を検討した。次に、ドイツ側・日本側研究協力者との協議を進め、日独シンポジウム・ワークショップ「『考え、議論する』倫理・道徳教育の可能性と課題ードイツと日本の事例から考えるー」を2020年2月に開催した。シンポジウムでは、招聘したR. W. ヘンケ博士(独ボン大学)と上智大学寺田俊郎教授(日本哲学会哲学教育ワーキンググループ前座長)に講演いただき、大原正義氏(賢明学院中学高等学校校長)にコメントをいただいた。日本語版実践哲学科教科書を用いたヘンケ博士による教授学ワークショップは、参加者によるワークを中心として実施した。小・中・高・特別支援学校からの現職教員の参加者も多く、学習指導のあり方について日独間のアイディアの交流を図ることができた。さらに、2019年度研究成果公開促進費により、これまでの研究成果をまとめた学術図書を刊行した。
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