本研究では,多文化音楽教育を先駆的に行っている米国及びオーストラリアに着目し,音楽カリキュラムや現地の様々な事例を分析・検討することによって,その学習内容及びアプローチ方法を明らかにした。 その結果,米国における全米コア音楽標準(2014)では,”多文化”という視点が直接的に明記されることがなくなった点や,メタ的に音楽を評価し,音楽をその目的や文脈から捉えることを重視している点が明らかになった。また,オーストラリアでの実践分析,及びカリキュラム分析の結果,音楽的な理解を伴った音楽経験を一貫して思考している点や,人間性のレベルにおいての音楽的能力の育成を目指している点が明らかとなった。
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