研究課題/領域番号 |
15K17424
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
内海 千種 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (90463322)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自然災害 / 避難 / 発達障碍 |
研究実績の概要 |
これまで徳島県内の自主防災会が高齢者を対象として製作してきた自然災害遭遇時の避難具を改良し、危機時にパニックを生じる可能性のある児童・生徒にも使用できる避難器具とすることを目的に研究を開始した。現在までに、以下の検討ならびに当事者グループによる検証を行っている。 1.当事者グループへの調査:避難時に生じる困難を検討する際に、焦点があてられることの多い身体面や年齢だけでなく、発達的・認知的特性による影響を検討するため、自閉症児・者の保護者に調査を実施した。 2.避難具の改良:高齢者向けに作成された避難具を、避難具の乗り手ならびに運び手の負担が軽減されるよう大きさや持ち手等の修正を行った。また当事者グループへのアンケート調査の結果等をうけ、詳細な説明書がなくとも使用方法がわかるよう避難具自体への視覚情報の追加等を行った。 3.当事者グループによる避難具検証:上記、2.で改良した避難具の検証を行うため、当事者グループが開催した、防災キャンプ等において、実際の避難場面を想定した経路を作成し、避難に使用したうえで、乗り手、運び手、観察していた保護者にアンケートを実施した。 4.上記経過の検証上記の経過を、第三者から検討してもらうため、学会発表を行い、特別支援教育に関わる専門家から広く意見を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当事者団体との連携や調整を、連携研究者との連携のもと早期から開始していたことにより、当初計画していた個別のニーズ調査を、調査協力者数が十分とはいえないものの、比較的順調にすすめることができている。また、避難具の改良等に必要な専門性(乗り手の特性を知るための専門性、防災や防災教育についての専門性、災害後に起こる反応についての専門性など)をもつ共同研究者との連携が比較的スムーズであったことも、順調に進捗している要因である。 以上のように、引き続き取り組むべき課題(協力者数の増加等)はあるものの、当初計画に対し概ね順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの避難具の修正ならびに、修正版への意見をうけて、以下の調整と当事者団体へのフィードバックを実施する。 (1)避難具の改良:今年度の試用の際に問題となった運び手の負担等について、各種専門家と連携しさらなる修正を行う。 (2)上記(1)の検証と製作:運び手の負担、乗り心地等を検証し、制作者との打合せを行った上で改良版の製作を行う。 (3)当事者グループ、支援者等への調査:避難器具や避難に関して困難だと捉えている事柄について調査し、避難器具の有効利用について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
徳島県外の大学等、研究機関に所属する研究者との打合せのため旅費等を準備していたが、当該研究者が来徳の際に、打合せを行ったため不要となった。また、資料整理等に準備していた人件費については、当該者との日程調整が難航し当初の予定より勤務時間を短くせざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
徳島県外居住の研究者ならびに資料整理担当者との調整を随時行い、旅費および人件費に使用する予定である。資料整理担当者については、当該者の私的事情も考慮し、交代を考えている。
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