災害後には物的資源や人的応援など、様々な支援が被災地外から寄せられる。しかしながら、例えば2016年4月に発生した熊本地震では、被災地方公共団体における受援体制が十分に整備されていなかったことから、多くの混乱がみられていることが報告されている。これをうけ取りまとめられた報告書「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方について」(中央防災会議 防災対策実行会議、2016)では、「受援を想定した体制整備」について検討を進めることが提言されている。 しかし2017年3月に内閣府によって策定された「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」では、はじめに「応援・受援の現状を知る(p1)」とあるように、これまでの災害時の応援・受援の報告は決して多くはない。特に災害弱者といわれる、日頃から特別支援が必要な児・者の支援施設における状況については、報告がさらに限られる。よって、受援体制の構築にあたっての課題点を明らかにするため、被災経験のある心身障害児通園施設等の職員を対象に面接調査を行った。 面接調査の結果より、平時より災害後のどの時点でどのような支援が必要なのかのリストを準備しておくこと、支援機関と受援機関との調整を行うコーディネーターが必要であること、日頃の支援活動にも言えることであるが、関係機関と顔の見える連携体制を作っておくことなどの重要性があげられた。特にコーティネーターの存在は、受援をスムーズにするだけでなく、これまで受援機関にかかっていた、受援に関わる心理的負担を軽減するためにも重要であることが示唆された。
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