研究課題/領域番号 |
15K17428
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
内山 仁志 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (60348604)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視覚認知 / 学習障害 / 低出生体重児 / 漢字能力 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、低出生体重児の視機能および視覚認知機能の関係を明らかにするため、低出生体重児と健常児、健常成人の視覚特性の評価を行った。その結果、H28年度は新たに健常成人30名、低出生児6名、健常児13名の評価を行った。 健常成人のデータをH27年度のデータと合わせて解析した結果、視覚認知検査(WAVES)の数字見比べ、形見きわめ課題において小6データよりも有意に成人で評価点が高いことが明らかとなった。これにはワーキングメモリーの影響が考えられる。また視覚構成と記憶を評価するReyの図検査とWAVESの各項目との相関を調べた結果、Reyの図検査の即時再生と遅延再生課題において形覚え、形写し課題との相関が有意となったが小児のようにすべての項目で有意な相関は認められなかった。また漢字能力や書字能力との関係は明らかとはならなかった。小児データにおける低出生体重児と健常児の比較では、形覚え(視覚的記憶)、傾きの判別課題で低出生体重児が有意に低く、WAVESによって、これまで別々の課題で扱われていた内容を総括的に評価できることが明らかとなった。現在、瞳孔機能などのその他の評価事項は解析中である。視覚特性の評価方法についてはおおむね、視力、両眼視、眼位に代表される視機能とWAVES、Reyの図で評価される視覚認知機能によって、評価が可能であると考えられた。特に視覚認知では視覚的記憶や傾きの認知を注意深く評価することが重要と考えられた。 なお、社会活動として被験者募集に合わせて夏休みこども教室を開催し、19名の参加者のもと、学習支援や夏休みの課題相談を行い、好評を得た。今年度も実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳波計測定に関して、成人での検査の実施を試みている段階であり、小児への適応が困難な状況にあるため、実験計画の一部を変更予定である。このため、予定していたよりも進捗としてやや遅れている。その他の評価は進んでおり、H29年度に開始予定の視覚訓練については、現在参加者の登録準備を進めているところであり、この点では順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
視覚認知面の評価方法はWAVESとReyの図を中心に評価することで低出征体重児の視覚特性を評価できることが明らかとなった。今後は視覚認知能力の低い対象者に対して訓練を実施する予定である。訓練については評価に基づき、これまでの参加者の中で漢字や数学の図形問題に問題を抱える児童を中心に、WAVESで特定の項目に困難を抱える対象児に対して、すでに市販されている支援ソフトを活用しながら、近年研究が進んでいる知覚学習の理論と方法を導入して訓練を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、海外の研究者とのミーティングを予定していたが、それが日程的に困難となったこと、そして、研究対象児の視覚訓練ソフトを動作させるためのWindowsPCが必要となったため、次年度に繰り越して使用を計画する。
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次年度使用額の使用計画 |
渡航費として使用せず、H29年度予算の中で視覚訓練ソフトを動作させるために必要なWindowsPCを購入する。
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