研究課題
スピン波の素励起であるマグノンを制御する試みは、低消費電力かつサブテラヘルツ領域のデバイスへの応用が期待され、新しいエレクトロニクス(マグノニクス)の研究として注目されている。マグノンはこれまで1次元的に伝搬する平面波として研究されてきた。しかしマグノニクス分野の発展やマグノニックデバイスの集積化のためにはマグノンの2次元的制御が必要である。そこで本研究では、マグノンの2つの側面から、すなわち波動性と粒子性の観点から、マグノンの2次元的制御の研究を行う。波動性の観点からスネルの法則の研究を行い、スピン波のメタマテリアル分野を創出に貢献する。粒子性の観点からベリー位相を用いたホール効果の研究を行い、幾何学的概念をマグノニクスに導入する。本年度はマグノンの波動的側面であるスピン波のスネルの法則の研究を行った。異なる膜厚を有する鉄ニッケル合金薄膜の接合を作製し、接合面に対して様々な入射角でスピン波が入射するように実験を行いスネルの法則を実証した。スピン波の透過波の屈折角、反射波の反射角は光のスネルの法則から予想される結果から異なることが明らかになった。この原因はスピン波は磁場方向に対して異方的であるためである。実験結果は方向依存性を考慮した屈折率から完全に説明できる。本成果は論文(J. Stigloher et al., Phys. Rev. Lett. 117, 037204 (2016).)にまとめており、Featured in Physics, Nature Physics, physicsworld.comに取り上げられ、注目されている。
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