研究実績の概要 |
プラズモン誘起アンモニア合成について検討、改良を行った。陽極として金ナノ粒子を担持したチタン酸ストロンチウムを、陰極として助触媒として働く遷移金属を用いて、光アンモニア合成について検討した。アンモニア合成反応の触媒として一般的なルテニウムを用いた場合はアンモニアの生成効率は低く、また副生成物として水素が大量に生成した。そこで、計算科学による予測に基づき、ジルコニウム/ジルコニア複合物をを助触媒として用いると可視光照射下でほぼ選択的にアンモニア合成反応が進行することを明らかにした。さらに、このとき電子源として水を用いて反応すると、窒素の還元によりアンモニアが、水の酸化により酸素が生成し、その存在比は化学量論比に相当する4:3であった。すなわち、本研究の最終目的である水を電子源とした、可視光照射下での窒素固定によるアンモニア合成に成功した。また、本反応系では酸化物と還元物を独立に回収可能であるため分離が不要であることから、産業的な価値も高い。 これらの成果は論文発表済みで、(T. Oshikiri et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 3492など)、またGordon Research Conferenceをはじめとする数々の国際会議にて招待講演を依頼されたことからも世界的に注目を集める研究成果であるといえる。また、平成28年3月7日付日本経済新聞に記事にも掲載されたことから、我が国としてもエネルギー需要の観点から重要な研究であると認められたといえる。
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