二種類の異なる金属で構成される二元金属コアーシェル型ナノ粒子は、金属ナノ粒子の中でも特に触媒活性が高いことが知られている。液相中における金属イオンの還元によるナノ粒子作製は、コアおよびシェルとなる金属がイオン化傾向に依存しており、その順序を入れ替えた粒子を作製するには煩雑な操作を必要とするなど、ナノ粒子作製の自由度は低い。本研究では、液相中における金属イオン還元法とは異なる、気相合成法を用いて、イオン化傾向の影響を受けないコアーシェル型ナノ粒子の簡便な作製法を確立することを目的とした。 本年度は作製したナノ粒子の構造の評価を行った。作製したナノ粒子中には2種類の金属が含まれており、また吸光度測定の結果から、コアーシェル型を有している可能性があることを示唆している結果が得られた。今年度は、これらの結果についての学会発表および論文執筆準備も同時に行った。 また実験装置について、触媒活性が高く、より融点の高い金属を用いることが出来るよう装置改良も行った。具体的には、1500℃程度まで加熱可能な管状電気炉の中に通す管の変更を行った。これまでは石英管を用いていたが、実験を行っていくうちに、1100℃を超えた実験条件で何度も使用していると少しずつ融解していくことがわかった。このことから、管状電気炉の中に通す管を石英管からムライト菅に変更し、それに伴う接続部品の変更等も行った。今後、改良した装置を用いて、さらに金属の種類を増やし、マルチな金属ナノ粒子作製へと研究を進めていきたい。
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