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2015 年度 実施状況報告書

原子構造を精密制御したグラフェンのドーピング

研究課題

研究課題/領域番号 15K17446
研究機関東北大学

研究代表者

岡田 健  東北大学, 流体科学研究所, 助教 (90616385)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードグラフェン / 窒化グラフェン
研究実績の概要

平成27年度はグラフェンの窒化とそのメカニズム解明に関して研究を実施した。X線光電子分光、およびラマン散乱スペクトルによる窒化グラフェンの構造解析を行い、窒化率、窒化に用いた中性粒子ビームエネルギーと窒化状態の解明、欠陥形成に関して知見を得た。
窒化率は照射ビームエネルギーには大きく依存せず概ね3%程度で飽和することが明らかになった。グラフェンの6員環構造を維持するために必要な最大窒化率を考慮すれば妥当な結果といえる。また、X線光電子分光によって窒素-炭素間の結合状態を明らかにした。窒素-炭素間の結合状態は照射するビームエネルギーに依存し、単結合と二重結合を選択的に合成可能であることが明らかになった。また反応性に富むグラフェンエッジは3eV程度の低いエネルギーで窒化されるのに対し、窒素と炭素の置換反応によって形成する窒素-炭素単結合はその結合エネルギーと同等の訳7eVで選択に形成可能であることがわかった。さらにラマン散乱分光法から算出した欠陥割合はこれまでに報告されている他のグラフェン窒化手法に比べて少ないことが明らかになった。以上のように、ビームプロセスによるグラフェンの窒化には選択的構造形成において最適なエネルギーが存在し、窒素原子の置換反応、炭素原子の脱離に伴う欠陥形成に密接な関係があることが解明された。
本年度に得られた成果は、多様な応用が考えられる窒化グラフェンについて、はじめて構造選択的な合成法を提案し、詳細な構造解析を行ったことである。次年度以降では構造を原子レベルで制御した窒化グラフェンの物性評価を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成27年度は窒化グラフェンの構造解析を行い有益な知見を得た。当初の予定よりも3ヶ月程度前倒しで研究を実施しており、すでに次年度で実施予定である物性評価を行っている。

今後の研究の推進方策

平成27年度までに当初の予定を想定よりも早い段階で実施することができており、すでに次年度実施予定である項目についても検討を開始している。平成28年度および平成29年度で実施予定の課題について計画を前倒しで実施する予定であるが、研究計画自体を大きく変更する必要はない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Selective in-plane nitrogen doping of graphene by energy-controlled neutral beam2015

    • 著者名/発表者名
      T. Okada and S. Samukawa
    • 雑誌名

      Nanotechnology

      巻: 26 ページ: 485602-1-6

    • DOI

      10.1088/0957-4484/26/48/485602

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Selective nitrogen doping of graphene by energy-controlled neutral beam2015

    • 著者名/発表者名
      T. Okada and S.Samukawa,
    • 雑誌名

      Proceedings of the 15th IEEE International Conference on Nanotechnology

      巻: na ページ: 1247-1249

    • DOI

      10.1109/NANO.2015.7388856

    • 査読あり
  • [学会発表] Selective nitrogen doping of graphene by energy-controlled neutral beam2015

    • 著者名/発表者名
      2.T. Okada and S.Samukawa,
    • 学会等名
      The 15th IEEE International Conference on Nanotechnology
    • 発表場所
      Rome/Italy
    • 年月日
      2015-07-27 – 2015-07-30
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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