研究課題/領域番号 |
15K17448
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研究機関 | 株式会社豊田中央研究所 |
研究代表者 |
生野 孝 株式会社豊田中央研究所, フロンティア研究領域・手塚研究グループ, 主任研究員 (60466331)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 軽量自立膜 / エネルギー変換素子 / ナノチューブ / 熱機関 |
研究実績の概要 |
環境に捨てられている室温~150℃の低温排熱エネルギーを利用価値の高い電力へと変換する技術の実現が期待されている.排熱発電技術として,ゼーベック効果を用いた熱電変換と,熱から機械エネルギーに変換する熱機関を介した電気エネルギーへの変換技術が挙げられる.本研究は,後者の変換技術を実現するため,ビルディングブロックである超軽量かつ集積可能な熱機関を創製することを目的としている. 目的達成のために,研究代表者は,低密度機能性自立膜を利用したこれまでにない熱機関を提案し,今年度,自立膜の創製と熱機関動作の実証を目標に研究を実施した. まず,低密度機能性自立膜の創製においては,多層カーボンナノチューブ(MWNT)を低密度に絡ませることにより,約500μg/cm2の低密度MWNT自立膜(厚さ10μm以下の)をセンチメートルオーダーで大面積作製することができた.そして,MWNT自立膜の片面に高い熱膨張係数をもつ異種材料を被覆することにより,超軽量バイメタルを作製することができた. 次に,超軽量バイメタルを用いた熱機関の動作実証を行った.短冊状に加工した上記バイメタルを熱源上に配置すると,一定温度であるにも関わらず継続的に伸縮動作を示すことを発見した.並行して行った動作シミュレーションから,軽量性に起因する熱感度の高さと,熱源表面付近の温度分布の時間変化が,本動作の必要条件であることが示唆された.今年度,本結果が論文に掲載され,月間注目論文に選択されるとともに,学会からプレスリリースが行われた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度に予定していた熱機関素子を作製し動作実証ができた.
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今後の研究の推進方策 |
自立膜の物性値と熱機関動作の相関について系統的に調べる. 平成27年度に創製した本熱機関に,機械エネルギーを電気エネルギーに変換する機能をアドオンする. さらに,MWNT自立膜以外に窒化ホウ素ナノチューブ自立膜を作製し,難環境用熱機関を創製する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より早く結果が出たため材料費が余った.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,材料費として使用する予定である.
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