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2015 年度 実施状況報告書

サステナブル・マテリアルを用いた高効率光触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K17461
研究機関京都大学

研究代表者

金子 健太郎  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50643061)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード光触媒 / 酸化鉄 / バンドギャップ変調 / 混晶 / 酸化物 / ドーピング / 結晶成長 / 導電性
研究実績の概要

本研究は、Fe2O3-CaOを用いた高効率光触媒の開発を柱にしている。しかしながら、研究を進める中で、絶縁体であるCaOの導電性改善に難航し、GGG基板等、サファイア以外の基板を用いて結晶成長を試みたが、その大幅な改善が見込めなかった。そこでホストマテリアルであるFe2O3単体の導電性改善を優先し、本年度はFe2O3の比抵抗値減少を目標に掲げて実験を進めた。Fe2O3自体は絶縁体であり、比抵抗値は1000Ωcm前後と大きな値を示す。まず、Fe2O3と、導電性が高くFe2O3と同じコランダム構造をもつIn2O3との混晶を作製した。この混晶化により比抵抗値を1桁減少させる事に成功した。しかしながら、依然として高い値であり、さらなる減少のために4価のドーパントであるSn4+のドーピングを試みた。Fe2O3とIn2O3との混晶である(In,Fe)2O3において、In濃度を0、7、16、29、56、64と変化させ、それぞれのサンプルにSn4+のドーピングを行ったところ、Sn4+を1.6%ドープしたサンプルにおいて、3-4桁の抵抗値の減少に成功した。また、それぞれのサンプルをXRD測定したところ、c面基板に配向成長した、高品質な結晶である事を確認した。さらに、Sn4+を1,6%ドープしたFe2O3サンプルにおいて、その表面SEM像を観察したところ、表面平坦性が高く、SnO2等の析出がない高品質薄膜である事を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述のように、絶縁体であるCaOの導電性改善に難航したため、混晶化するゲスト材料の再検討を含めて、計画を修正する必要がある。CaOは、あくまでFe2O3の伝導帯を押し上げて、水素発生電位まで0.4eV分エネルギーを増加させる事が目的である。よってその他の材料であっても本研究の意図である「サステナブル・マテリアル」という基準に沿っていれば、本研究の遂行は可能であると考えられる。また一方で、触媒表面の電子濃度は高いほうが好ましく、絶縁体であるFe2O3の電子濃度を向上させる事も重要な課題である。よって本年度は、ホスト材料であるFe2O3の導電性を向上させる事に注力し、上述のように実際に3-4桁の比抵抗値の低減に成功した。次年度では、ゲスト材料の再選定も含めて、水素-酸素を発生させるFe2O3混晶薄膜の作製を目的とし、その水分解挙動の確認を目指す。

今後の研究の推進方策

今後の研究を進める上で、上述のようにゲスト材料の再選定が重要となる。本年度に、混晶化に成功したalpha-In2O3が一つの候補である。しかしながら、これまで良く研究されていたビックスバイト型In2O3と異なり、コランダム構造をもつ新規材料であるため、その伝導帯及び価電子帯のエネルギー順位については不明な点が多く、XPS測定によって測定する必要がある。また、他の候補材料についても選定を進め、本研究課題を遂行する。また、材料選定が終了したら、実際に水素-酸素発生用の治具を作製し、その発生量を測定する事によって触媒としての性能の評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、作製した薄膜の物性評価と、調査を目的とした学会参加が中心であったため、物品費の使用額が少なかった。一方で、次年度は水素-酸素発生評価用の治具の作製等、今年度に行う実験内容がずれ込んでいるため、次年度使用額が生じた次第である。

次年度使用額の使用計画

上述のように、水素-酸素発生評価用の治具の作製等、物品費を多く見積もっている。一方で、調査のための旅費は減少し、成果発表のための旅費を執行する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] University of Versailles(France)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      University of Versailles

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公開日: 2017-01-06  

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