SEMで含有試料を観察するためのチャンバを作製した。サイズは直径35mm、高さ6㎜の円柱型で、電子透過膜をセットするための穴(直径3㎜)を設けた。このチャンバに大気と含水試料をセットすることで、SEMによる含水試料の大気中観察を目指した。 電子透過膜にはDLCを用いることを検討した。プラズマイオン注入法を用い、シリコン(Si)にDLCを成膜した後、目的領域のSiをエッチングすることで、電子透過膜を作製した。 電子透過膜の強度評価のため、膜厚50nm、100nm、200nmにおいて、 50×50μm、100×100μm、150×150μm、200×200μm角のサイズの電子透過膜(DLC)を作製した。膜厚50nm 、100×100μmのサイズでも、大気圧差に耐える強度であることが確認できた。しかしこのサイズで含水試料をSEMで観察すると、水分の蒸発によるチャンバ内の圧上昇により、膜が破損する可能性が高まる結果となった。Siエッチング時の歩留まり率等も合わせて考慮した結果、本研究では膜厚50nm、50μm×50μmのサイズを以降の実験で使用した。 また、電子線が与える酵母菌へのダメージの影響についての評価については、大気中にセットした酵母菌が分裂する様子をSEM(5kVの加速電圧)で観察する計画であった。しかし、分裂に最適な温度管理等をSEMチャンバ内で行うことが困難であった。そのため、実験方法を ①作製したチャンバに酵母菌と培養液をセットし、5kVの電子線を照射(0分、1分、3分、5分)する。②電子線を照射した酵母菌と培養液を回収し、寒天培地内で3日間25℃の温度で培養する。③酵母菌が電子線照射により死滅、もしくは分裂の機能を失わなかった場合はコロニーを形成するため、それぞれの電子線照射時間におけるコロニー数をカウント、比較する。 に変更し実験をおこなった。
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