研究課題
酸化物半導体における表面電子状態の精密制御は、表面の機能を利用したガスセンサなどの電子デバイス、および触媒の機能を向上させる上で必要不可欠な技術である。本研究では、電荷不連続性の精密制御および界面歪み印加(界面エンジニアリング)を行った酸化物薄膜の表面電子状態を光電子分光測定により直接決定する。これにより、界面構造とそれにより誘起される表面電子状態との相関関係を特定し、その知見に基づいた酸化物半導体の仕事関数変調方法を確立することを目的とする。初年度では、界面構造を制御したTiO2薄膜/LaAlO3基板ヘテロ構造を作製し、TiO2薄膜の表面電子状態および内部電場について光電子分光測定を用いて詳細に調べることに取り組んだ。しかしながら、ワイドバンドギャップであるLaAlO3基板は絶縁性が高く、光電子分光測定が困難であることがわかった。そこで研究対象を見直し、界面構造を制御したLaFeO3薄膜/SrTiO3基板ヘテロ構造を作製し、光電子分光測定を行った。その結果、界面の終端構造の違いによって、LaFeO3薄膜の電子状態が大きく変化した。このことは、界面構造制御による表面電子状態制御ができていることを意味している。詳細な膜厚制御、界面終端構造の制御の結果から、界面の極性反転に応じて、確かにLaFeO3の内部ポテンシャルが反転したことが明らかとなった。この結果は、これまでに同様の系において、光電極反応や電気化学的手法によって評価された報告と定性的に対応している。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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