本年度は,(1)記録波長数3かつ1umオーダの構造のホログラフィックイメージング,(2)記録波長数4かつ10um程度の構造の可視化,(3)多方向照明を用いるディジタルホログラフィ方式の有効性確認,(4)偏光イメージング能力に関する検討を行なった。 (1)では,平成27年度に実証した極座標面で分光する波長選択抽出位相シフト法の記録波長数3への拡張,顕微鏡応用に向けた光学システム開発,染色された動物細胞の可視化実験を行なった。記録波長数の増大に伴いマルチカラーイメージングを実現できるようになり,広帯域情報記録可能なマルチカラーホログラフィック顕微鏡への展開を行なった。染色された動物細胞のマルチカラーイメージング実験を行ない,1umオーダの直径を有する細胞核の可視化を実験的に示せた。よって,生体の観察を行なえた。(2)では当初の計画に上げていた記録方式に基づき,色味を有する10um程度の構造を有する植物組織切片に対し可視3波長と近赤外光の単一露光同時ホログラフィックイメージング能力を示した。(3)では,断層イメージングに向けた多方向照明システムを構築し,一適用として原理的な空間分解能向上に加え解像度の向上を実験的に示すことに成功した。(4)では,偏光イメージングに必要な信号処理手続きを実装の上,偏光情報取得能力に関する実験的検討を行ない,測定方式による偏光検出能力に問題が無いことを確認した。 以上の研究活動に基づき,本研究課題に必要な要素技術開発をすべて達成することができた。
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