研究課題
○基礎テーマ:パルスアーク型プラズマジェットのうち,ジェットプルーム部でのNHラジカルの発光特性とパルスアーク部でのそれは全く対照的であることが分かった.この事実より,パルスアーク部で合成されたNHはジェットプルーム部に侵入する際に周囲の水素と結合しNH3へと安定化する可能性が示唆された.この結果は,今後より高密度のNHラジカルを金属表面に照射する技術開発に直結すると期待される.また,大気圧プラズマ窒化の窒素供給面積制御法を確立するため,500℃程度の高温下における平板型バリア放電の挙動を調査した.その結果,温度の上昇に伴い対向電極の存在範囲を超え,バリア放電の点火面積が拡張していくことが明らかとなった.この現象は物理的な新規性もあり,またバリア放電を応用した様々な表面改質技術の大量生産化へつながる可能性が高い.○応用テーマ:医療用チタンの窒化の前段階において局所真空パージを取り入れることにより,従来よりも窒化チタン層の窒素濃度を向上させることに成功した.本手法により,医療用金属の生体適合性のさらなる改善が期待される.またステンレス鋼を用い,不動態被膜を水素により効率的に除去するための実験を試行した.その結果,処理中に水素添加量を変化させることにより,不動態膜の除去および窒素原子供給量の向上を同時に達成することに成功した.○全期間の成果:これまでは「大気圧プラズマによる鉄鋼の窒化が可能」という事実以外は未知であった.しかし本研究により,NHを介した窒化素過程,窒素供給量制御,NH高密度化の指針,またバリア放電の実用性および高温下における新規挙動が明らかとなった.さらに医療用金属の窒化および硬組織適合性の向上,不動態被膜の克服,さらに浸窒焼入れにおけるマルテンサイト変態の最適化に成功した.これにより,大気圧プラズマ窒化技術を科学として扱う価値がさらに明確になったと考えている.
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チタン
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http://elecls.cc.oita-u.ac.jp/plasma/research/metal.html