研究課題/領域番号 |
15K17485
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
高柳 真司 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (00735326)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 圧電デバイス / 酸化亜鉛薄膜 / 弾性波 / 横波型 / 導電率センサ |
研究実績の概要 |
本研究は、液体の導電率や粘度を測定できる横波型弾性波センサの開発を目的とする。特に、横波型弾性波を励振可能なc軸平行ZnO膜(圧電軸が基板面に対して一方向に揃ったZnO膜)を石英パイプ外周に成膜し、横波型弾性波の円周方向多重周回を実現してセンサの高感度化を目指す。 当該年度では、まず直径20mmの石英パイプ外周へのc軸平行ZnO膜の成膜について検討を行った。これまで、低圧RFマグネトロンスパッタ法を用いて平面状の石英基板上にc軸平行ZnO膜を作製することに成功してきた。同様の成膜条件で石英パイプ外周に成膜をした結果、ZnOターゲットに対して対向した位置においてはc軸平行膜が形成されたが、パイプ側面に回り込んだ位置では良好な配向性の膜は形成されなかった。そこで、石英パイプ付近にスリットを設置し、ターゲットに対向した位置のみで成膜されるようにして、石英パイプを回転させて成膜を繰り返すことで、パイプ全面にc軸平行膜を成膜することに成功した。 続いて、横波型弾性波を用いた液体の測定系を構築した。当該年度では、これまでに横波型弾性波の一種であるSH-SAWの励振が確認されている平面型のセンサを用いて検討した。発振器から141 MHzの正弦波バースト信号を電極に印加することでセンサにSH-SAWを伝搬させ、さらに電極で受波したSH-SAWをオシロスコープで観測する。このとき、伝搬路に測定対象の液体を負荷することで、SH-SAWの到達時刻に遅れが生じる。塩化カリウム水溶液の濃度を変化させて、導電率の異なる試料を測定した結果、0.1-10 S/mの範囲で導電率変化を検出できることが示唆された。 次年度では、これらの検討からパイプ型のセンサを用いて液体の測定を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究計画は、「数値解析による最適な構造の探索」、「石英パイプへのZnO膜の成膜条件の検討」、「正弦波バースト信号を用いた測定系の構築」の3点であったが、それぞれおおむね検討内容が達成できた。これらの研究成果は、国内学会、国際会議にて発表されている。また、当該年度中に論文投稿には至らなかったが、現在、投稿準備をしている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、ZnO膜を石英パイプ全面に成膜する際には、60度ごとパイプを回転させて計6回成膜するというような手法を取っている。しかし、これでは「1回の成膜ごとに試料を設置し直す必要がある」、「パイプ全体で均一には成膜できていない」などの問題がある。そこで、成膜装置に回転機構を取り付け、パイプを回転させながら成膜を行うことを計画している。 また、構築した平面型センサ測定系をパイプ型センサでも測定できるように、適宜、改造する。そして、パイプ型でも弾性波の送受波を確認し、平面型と比較してパイプ型が高感度になるか検討する。必要に応じて、弾性波を励振するための電極を再設計したり、最適な構造を再計算したりすることも考えている。
|
備考 |
(平成27年度までの所属研究室HP)
|