研究課題/領域番号 |
15K17486
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
南部 健一 東北大学, 電子光理学研究センター, 技術専門職員 (00422072)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ビーム診断 / チェレンコフ光 / 縦方向位相空間測定 |
研究実績の概要 |
本研究は、非相対論的電子ビームが、チェレンコフラジエーターを通過する際に放射するチェレンコフ光を測定することで、その電子ビームの縦方向位相空間分布をシングルショットで直接測定するチェレンコフリングカメラの原理実証を行うことが目的である。 平成28年度はラジエーター通過時に電子ビームから放射されるチェレンコフ光をストリークカメラまで輸送する光学系の設計・製作、及び東北大学電子光理学研究センターの試験加速器(t-ACTS)のビーム診断部に設置したチェレンコフラジエーター試験系を用いてラジエーターのビーム試験を行った。透過型スクリーン上のチェレンコフ光を、ゲート付きCCDカメラを用いて測定する方法で可視光領域におけるチェレンコフ光の測定実験を行い、原理的な値との比較を行った。その結果、スクリーン上での幾何学的な形状は、概ね原理的な値と一致していることがわかった。しかしながら、チェレンコフ光の分光実験は、放射線ノイズ等の影響が大きく測定することができなかった。新たに設計した2つの円錐ミラーを用いた光学系は、チェレンコフ光をすべて輸送することが出来るので、加速器室の外に分光器を設置し測定を行うことが可能になることから、光学系の構築に着手し、分光実験の準備を開始した。また、薄いチェレンコフラジエーターを電子ビームが通過する際に放射されるチェレンコフ光の放射角(チェレンコフ角)とその波長依存性などについて理論考察を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題で開発しようとしているチェレンコフリングカメラには、チェレンコフラジエーターとチェレンコフ光を検出器まで導く光輸送系が必要である。チェレンコフラジエーターの評価は順調に進んでいるが、光輸送系には円錐ミラーを用いる必要があったことが今年度の研究により判明した。計画当初には円錐ミラーの採用は想定されておらず、円錐ミラーは本課題遂行のために必要不可欠な物であり、また円錐ミラーの製作に想定よりも時間を要したため、当初の計画からはやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に計画していた、チェレンコフリングカメラの測定実験に向け、チェレンコフ光の分光実験及び光輸送系の評価を進めるとともに、数値計算による測定誤差やアラインメント制度について検討行う。これらの評価・検討を早急に行った後にチェレンコフリングカメラをビームラインに設置し、その性能確認を行い本課題の目的を達成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
チェレンコフ光を計測ステーションまで輸送する光学系を再検討した結果、従来の平面ミラーのみを用いた光学系に比べて、一部円錐ミラーを導入した光学系が望ましいとの結果が得られたため、光学系の構成を変更したことなどから、当初の研究計画から若干遅れが生じている。これらの理由から、測定システムが未完成であるため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り測定システムの構築と学会発表等の経費に充当する。
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