研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射光を光源とする反射型の小角散乱法(GISAXS)とコンピュータトモグラフィー法(CT)を組み合わせることで、機能性薄膜材料の表面・界面ナノ構造を可視化する新たな手法(GISAXS-CT法)を開発することである。高精度真空チャンバーの開発及び自動測定・解析システムを開発では、試料を回転する時に低面ブレのステージを用いた。これにより、放射光の光源サイズを小さくした時のGISAXS測定が可能になり、20μmの空間分解能でCT像を再構成することができた。 実証実験では、無機材料薄膜試料を用いた。真空スパッタリング法で表面に金、金/白金、白金、白金/金をそれぞれ異なった文字形に蒸着したシリコン基板を作成した。試料位置でのビームサイズ横 200 μm × 縦 100 μm のX線を角度0.2°で入射し、散乱像を試料から1800 mmの距離にあるX-ray image intensifier with a cooled CCD (II + CCD) (Hamamatsu Photonics, V7739P+ORCA R2、ピクセルサイズ64 μm×64 μm、ピクセル数1344× 1024 pixel)で測定した。得られるた二次元散乱像から各ピクセル位置で、CT像をした。例えば、金の微粒子が形成する相関ピーク位置においてCT像を再構成したところ、金蒸着部分が明確に再構成された。さらに、各ピクセル位置からCT像を再構成することで、各材料が形成するナノサイズの形状や相関距離に対応したCT像を個別に再構成することに成功した。また、有機物-無機物の多層試料の再構成を行った。X線に対する物質の全反射臨界角の違いは無機物と有機物の間では大きい。そのため、有機物-無機物の多層試料などでは、入射角を変えたGISAXS測定を行うことで、それぞれの物質からの構造情報を別々に得ることに成功した。
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