本研究の目的は、イオン飛跡を飛跡の形成と同時に酸化させるというアイディアを基に、酸素中でイオンビーム照射を行う技術を開発し、産業レベルで現実的な作製手法のないフッ素系高分子のイオン穿孔膜作製手法及び孔径制御手法を開発することである。サイクロトロンを用い、ポリフッ化ビニリデン膜に対して、酸素中及び真空中で高速重イオンビームを照射し、孔径と官能基の変化を比較した。結果として、酸素中で照射した膜中では酸素含有官能基の生成が優位に検出されたことから、イオンが通過した飛跡内部に親水性官能基を積極的に導入できた結果、イオン穿孔の作製時間の短縮及び孔径拡大化が実現し、効率的な制御法を示すことができた。
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