今年度査読付雑誌に3本論文が受理された。この研究成果について述べる。まず、国際共同研究により、整数からなる線形回帰数列について研究した。線形回帰数列におけるperfect powerの有限性は、orderが4以上の場合は未解決であったが、これを解決した。また、国際共同研究により、結晶の成長に関する数学的モデルに関する研究に関して研究を行った。特に、その研究で、結晶の成長を特徴付ける数学的な量を提案した。この数学的な量を調べることにより、準結晶など、結晶の成長に関して新たな知見を得た。さらに、国際共同研究により、p進整数環におけるNewton法に関する研究を行った。特に、Henselの補題について、一般の連続関数に対する類似が存在するかどうかは未解決であった。本研究では、この未解決問題を解くことに成功した。 国際共同研究として、数系におけるdigitの正規性(ある種のランダム性)について研究を行った。2進展開と4進展開のように、数系自体は異なるが、正規性のための条件は一致する(normal equivalent)数系を調べることは、エルゴード理論における課題の一つである。本研究では、Pisot数によるベータ展開と関連した数系について、normal equivalentな数系を与える手法を与えた。本研究の成果は、2019年3月の日本数学会において報告した。今後本研究を論文にまとめ、投稿する予定である。 さらに、共同研究として、2次のPisot数を公比に持つ等比数列に関する一様分布論について、研究を行った。特に、小数部分に関する漸近的挙動を解析した。本研究の成果を、名古屋大学における研究集会で報告した。本研究に関して論文をまとめ、投稿する予定である。
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